季節の養生 春夏秋冬
漢方では、「養生」とは生命を養うことと考えます。
日々を健やかに暮らすための生活のヒントをお伝えします。
春の養生
草や木が芽吹きはじめ、やわらかな日差しの中で、植物だけでなく、動物や私たち人間ものびのびと過ごす季節がやってきました。春は、心と体をのびやかに維持し、活動的に暮らすことを心がけたいものです。冬の間、温かくなったらやってみたいと思っていたことにチャレンジしたり、朝早く起きてゆっくりと散歩を楽しんだりするとよいでしょう。春の養生のポイントは、吐く息を意識して、深い呼吸をゆっくりとすることにあります。春は生活に変化が多く、知らず知らずに精神的なストレスがたまりやすい季節です。呼吸が速くなると気持ちが急いて、不安や緊張を呼び起こしやすくなるので、気をつけたいですね。
三寒四温で肌寒さと温かさが繰り返しやってくる春先は、体調管理も難しいですよね。春一番に代表されるように、天気がよくても風が強いのが春の気候の特徴です。風は、時折冷たい空気を送り込んだり、花粉を巻き上げて飛ばしたりします。風が引きおこす未病トラブルを「風邪(ふうじゃ)」といい、漢方では、春先におこりやすく、体の表面や上部を襲うと考えられています。
【春におこりやすい未病トラブル】
- 肌の乾燥、肌荒れ、アトピーやじんましん、皮膚の抵抗力の低下
- 花粉症などのアレルギー症状、めまい、のぼせ、頭痛、口内炎
- 目の乾燥、目の疲れ、不安感、眠りが浅い、疲れがとれない
- 消化不良、お腹が張る、イライラ など
春の養生のポイントは、冷気を体に取り込まないようにし、徐々に温かさに体をならしていくことにあります。生ものや冷たいものは避けて、温かいものを食べるようにしましょう。また、高脂肪の食材や刺激物は控えめにして、さっぱりとした味付けのものがよいでしょう。旬の野菜を毎日の食事にたっぷりととり入れることも大切です。旬の野菜、花や野草などの自然な甘味は、胃や腸といった消化器官を元気にしてくれます。また、山菜や野草など苦味は、心や体の中にたまった余分な熱をとり、デトックスを助けます。
【春にとり入れたい食材】
- 旬の野菜の甘味
にんじん、じゃがいも、キャベツ、かぶ、アスパラガス、たけのこ など - デトックスを助ける苦味
菜の花、しゅんぎく、うど、ふきのとう、セロリ、ミント、パセリ など
ちょい薬膳#01
『青じそ薬膳茶』
体を温めて体のバリア機能を高めます。また、「気」の巡りをよくして胃腸の働きを回復させる食材です。花粉症やかぜ気味、食欲がない、お腹が張るときに。香りを楽しみながら、ゆっくりといただきましょう。
ちょい薬膳#02
『菜の花とじゃがいもの炒め物』
生命エネルギーである「気」を補うじゃがいもと、「気」「血」の巡りをよくする菜の花、にんにくの組み合わせ。旬の野菜の甘味と苦味が胃腸の調子を整えて、心も体も軽くしてくれるでしょう。
詳しいレシピは
暮らしの出版物とワークショップ【atelier ハル:G】
halu-g
文・写真
漢方スタイリスト・養生薬膳アドバイザー
伊嶋まどか