季節の養生 春夏秋冬
漢方では、「養生」とは生命を養うことと考えます。
日々を健やかに暮らすための生活のヒントをお伝えします。
冬の養生
植物は葉を落とし、動物たちは大地にもぐり冬眠する冬。すべてが動きを止めるこの季節は、物事を動かさずに心にとどめおくことが大切です。やる気や元気を無理に出して頑張ると、生命エネルギーを放出してしまい、心も体も冷え、消耗してしまいます。冬の朝は、日の出を待ち、ゆっくりと起きるとよいでしょう。睡眠をたっぷりと取ることも大切です。冬の寒さは、私たちの体内の活動を衰えさせ、血行も悪くなります。これは、大きな病気を招いたり、病気の再発や悪化の原因にもなります。冬の養生のポイントは、まず寒さから身を守ることです。首、腰、足首、手首などを冷やさぬように温め、入浴は湯船に浸かって温まるようにしましょう。無理な運動や冬場のダイエットは控え、春に向けてエネルギーを蓄えてください。
冬の寒さは体を冷やし、手足を縮こませます。そのために、さらに血行が悪くなり、冷えを感じるという悪循環です。湯船の中や風呂上がりなどに、手のひらや足の裏などをゆっくりと息を吐きながらマッサージしてみましょう。首の後ろ、お尻から足の裏側など、体の隅々を自分の手でやさしく触ってほぐすことで、緊張がほどけ、血行を促します。
【冬におこりやすい未病トラブル】
むくみ、くすみ、記憶力が落ちる、自信がなくなる、考えがまとまりにくい、いくら寝ても眠い、疲れがとれない、足腰に力が入らない、肌や髪の老化、シワ、持病の悪化、排尿トラブル など
薬膳・漢方では、冬は五臓の「腎」の負担が大きくなるため、腎を補う食材を取り入れるとよいと考えます。たとえば、黒い食材や滋養強壮によい食材は、冬に取り入れたいもの。スープや鍋物など、温まる食事を心がけ、「血」の巡りをよくするスパイスや辛味野菜などを上手に取り入れましょう。食事はいつも以上にバランスよくきちんと食べることを心がけましょう。ダイエットは逆効果です。活動的な春を迎えるために、今はエネルギーを蓄えるときだからです。
【冬にとり入れたい食材】
■黒い食材
黒ごま、黒豆、黒糖、黒酢、黒きくらげ、昆布、黒米、しいたけ など
■滋養強壮に
高麗人参、もち米、やまいも、えび、牛肉、羊肉、くるみ、くり など
■体を温め、血行をよくする
紅花、シナモン、クローブ、山椒、とうがらし、にんにく、しょうが、ねぎ、にら、らっきょう など
黒きくらげとにらのえび団子スープ
体を温め、「気」「血」を補い巡らせる薬膳スープ。胃腸の調子を整えるしいたけ、足腰の冷えやふらつきが気になるときによいえび、生活習慣病予防効果が期待されている黒きくらげ。にらを香菜や春菊に変えても。
紅黒葛湯
黒い食材は五臓の「腎」の働きを助けるといわれています。体に精をつけ、老化予防、疲労回復によい黒豆や黒糖。血流をよくしてコリや痛みを和らげる紅花や葛。紅花は妊娠中の方はお控えください。
黒豆と根菜のハニーピクルス
旬の根菜と黒豆、黒酢、はちみつ、クコの実を使ったアンチエイジングレシピ。黒酢は血行をよくし、しこりを小さくすると言われています。疲れやすい人や暴飲暴食気味の人、胃腸の調子が悪い人にも。
詳しいレシピは
暮らしの出版物とワークショップ【atelier ハル:G】
halu-g
文・写真
漢方スタイリスト・養生薬膳アドバイザー
伊嶋まどか